最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)117号 判決 1948年6月29日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人牧野芳夫同福田力之助の上告趣意は添附別紙に記載の通りである。
第三點について、
衆議院議員選擧法第百十五條第二號にいわゆる演説の妨害とは、その目的意圖の如何を問わず、事実上演説することが不可能な状態に陥らしめることによって成立するのであって、判示山内泰藏の演説の繼續が不可能になったのは、被告人と山内との口論にその端を発したものであるとはいえ、結局は、被告人の山内に對する暴行によって招來されたものであるから被告人として固よりその罪責を免かれることはできない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって刑事訴訟法第四四六條により主文の通り判決する。
右は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 庄野理一 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)